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「して欲しい事があったら言ってください。私も言葉にしてもらわないと分からないので……。」
三津の背中に手を回して胸に顔を埋めていた桂は“して欲しい事”と言われ昨日の入江の件を思い出してしまった。
「あっいやっ私は別に……。」 https://www.easycorp.com.hk/en/accounting
急に身を剝してあたふたしだした桂を三津は不思議そうに見つめた。
「もし嫌でなければ……たまにこうして横で寝てもらえると嬉しい……。朝起きた時一番最初に三津の顔を見たい。」
「分かりました。なるべくお疲れの時は寄り添えるようにします。」
本当に元には戻れないのか?と思うぐらい三津が自然で居てくれるから桂はつい甘えたくなる。
「三津……。」
「何ですか?」
とても甘えたいがここで我を通せば三津をただ都合良く利用してるだけな気がして,それだけは避けたいからと思い何でもないと首を横に振った。
「小五郎さん,またお互いの信頼を積み重ねるには隠し事せず本音で話さなアカンと思うんでやり直す為にもちゃんと思う事は言ってくれませんか?」
そう言われては敵わない。気まずくて目は見られないから少し視線を落として白状した。
「く……口づけを一つ……して欲しい。」
どんな反応をするか恐る恐る視線を三津の顔へと移していくと,三津は顔を赤く染めていた。
「私からするんですか?」
出来れば……と消え入りそうな声でお願いすると三津は口を一文字に結んで黙り込んだ後,小さく分かりましたと答えた。
「あの……目を閉じてもらっても?」
「あっ……あぁ分かった……。」
布団の上でお互い正座で向かい合い,桂は言われた通り目を閉じた。視界を閉した今は音だけが頼りで,三津がにじり寄る音がして膝が少し触れ合った。
それから三津の右手が自分の左肩に置かれ,左手は頬に添えられた。鼻先が触れ柔らかい物が唇に当たった。
触れた唇は余韻を残しながらもすぐに離れた。名残惜しくて目を開けると目の前にあった顔が恥じらいながらそっぽを向いた。
「ありがとう,身支度してくるよ。」
桂は歯止めがかからなくなる前に部屋を出た。口づけをしてもらえたと言う事はまだ自惚れてもいいのだろうか。
桂はにやける顔を両手でパンッと叩いてから表情を引き締めた。
今日もやらなければならない事が沢山ある。
朝餉の準備はセツと三津の二人でやった。白石邸に滞在する三人にはなるべく朝はゆっくりしてもらいたいと三津が申し願った。
それと味噌汁も自分に作らせてくれと頼んだ。身支度を整えた隊士達がぞろぞろと広間に集まりだし,そこに居るのがセツと三津だけと分かると表情が緩んだ。
「あの姉ちゃんも別嬪やけど気性が荒いけぇ嫁ちゃんの愛嬌が和んでいいわ。」
「それ幾松さんの前では言ったら駄目ですよ?」
三津はそう言ってもらえるのは有り難いけど幾松が知れば後が怖いからと苦笑した。
「嫁ちゃん俺ご飯少なめ味噌汁多めにして……。」
あからさまに二日酔い感を出した山縣が頭痛いと背後から三津にのしかかった。
「体が資本ならしっかり食べて下さい。ほら,ちゃんといつものとこに座って。」
右肩に顔を埋めて無防備になった山縣の後頭部を三津はバシバシ叩いた。
「嫁ちゃん食わせてくれやぁ……そしたら食べるけぇ……。」
「食べさせたらいいそ?そしたら私がその口に突っ込んじゃるけぇ私の膝に座り?」
山縣の肩にぽんと手を乗せて三津から離れろと指先に力を込めた。
山縣が恐る恐る振り返ると満面の笑みを浮かべた文が居た。
「文さん!ゆっくりして来てくれたら良かったのに。」
「せっかくこっち来とるんやけぇ一日中ここにおってみんなと楽しく過ごしたいやん?」
その腹黒い笑みを目の当たりにした入江は顔を真っ青にして赤禰の陰に隠れた。
「フサも出来る限り姉上と共に過ごしたいので朝早く起きるのは苦じゃありません。山縣さん,私の姉上なので離れてください。」
フサは厚かましいと山縣を引き剥がしにかかった。