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「明日は朝五つ半(9時頃)にここを出立致しまして、午後には那古屋城へ入りいただきます。
初めに御目通りの儀をお受けいただき、殿や大殿・信秀様、殿の母君・土田御前様など御親族の方々とご対面いただきまする。
大殿などは、此度の婚礼の式にご参列なさる為にわざわざ末森の城からお越しで──」
「平手殿」
明日の段取りを説明する政秀に、帰蝶は真摯な眼差しを向けた。
「その前に一つ、あなた様に伺いたき儀があるのですが…よろしいでしょうか?」
「に答えられる事でございましたら」https://www.easycorp.com.hk/en/accounting
「実は、織田家の事について色々と知っておきたいのです」
「織田家の?」
「姫様は、婚家の事を何も知らずしてぐのは織田家の方々に無礼だと申されて、織田の家系や内情を事前に知っておきたいそうなのです」
三保野がやや色を加えて説明すると
「それは何ともご感心な。さすがは道三様のにございますな」
政秀は嬉しそうに笑い皺を寄せた。
「それで、何をお訊きになられたいので?」
「今の織田家の現状についてです。何でも尾張の覇権をめぐって、お身内同士での争いが絶えないのだとか?」
「…その事でございますか」
政秀の口から僅かながらに溜め息が漏れ、温和そうな面差しに苦悩の色が浮んだ。
「織田家は今、大きな二つの勢力に別れておりまする。
一つは大殿・信秀様のご勢力。そしてもう一つは、清洲城の織田彦五郎信友様の勢力にございます」
「織田信友様…」
「清洲は織田の本家筋に当たりまして、信友様は先の清洲城主・織田達勝様のご養子の身から、本家の家督をご相続なされたお方にございます。
尾張一の実力を誇る大殿ではございますが、清洲との主従関係は今尚続いておりまして、立場上、大殿は信友様の家臣となりまする」
「美濃に比べれば尾張など小さな国ですのに、内情は随分と複雑なのでございますなぁ」
三保野がやや侮ったように言うと
「尾張は木曽川によって中部と繋がっておりますので、昔から商業が盛んな肥沃な地にございました。
加えて関東と都を結ぶ東海道上にあります故、上洛を願う武将や大名方にとってはまさに格好の土地。
例え身内同士でなくとも、尾張一国を手に入れたいと思うのは当然の事と言えましょう」
政秀は反論するように告げた。
「…それで、信秀様と信友様は今尚 尾張をめぐって戦をしているのですか?」
帰蝶が訊ねると、政秀は争う事はなくなり申した。
…されど、油断は出来ませぬ。こちらに隙があると見れば尾張統一を目論んで、再びの先を向けて来られましょう」
「和睦をしたのにですか?」
「姫様。この戦乱の世にては、和睦や同盟などは有って無いようなもの。
“ 討つ ” と思い立ったその一念が、平気で人を、や裏切りの道へと駆り立てる世なのでございます。
無論それは、あなた様のお父上である道三殿とて、例外ではございませぬ」
「…平手殿…」
冷たい一滴の汗が、帰蝶の背中をスーっとなぞるように落ちていった。
よもや道三の裏の企みが全て見抜かれている訳ではなかろうが、相手も馬鹿ではない。
事と次第によっては再び美濃と相争うことになる…。
そんな可能性も踏まえた上での