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debsy asukablog

売られた喧嘩は買ってきた。

売られた喧嘩は買ってきた。

かった恨みも数知れず。

刀を握るからには日々命を懸けてはいるけれど

 

 

「くっ,あははははっ!!

 

 

総司は腹を抱えて笑った。

苦しい苦しいと涙を拭う。

 

 

「何が可笑しい!!」 https://www.easycorp.com.hk/en/accounting

 

 

「だって土方さんが簡単に死ぬ訳ないもの。

なのに今生の別れだなんて冗談もいいとこですよ!しかもあんな真顔でっ!」

 

 

「あれぐらい言わなきゃ態度を改めねぇんだよアイツは!」

 

 

我ながら大人げなく,子供じみた言い方をしてしまったと思っていたところだ。

そこを抉らないでいただきたい。

 

 

だがここでめげてはいられない。目的を果たす事だけを考えて土方は大股で歩いた。

 

 

「御免下さい。」

 

 

土方を追い越して総司がウキウキしながら暖簾をくぐった。

 

 

『コイツ用件忘れちゃいないだろな?

甘味屋ってだけでこんなに浮かれるったぁお気楽な奴だな。』

 

 

「あら,沖田さんに土方さん。いらっしゃいませ。」

 

 

お久しぶりねと形式的な挨拶をそこそこに,総司を押しのけて土方が本題を口にする。

 

 

「今日は女将に教えていただきたい事があるんです。」

 

 

「何でっしゃろ?」

 

 

「三津の過去について。」

 

 

トキの顔色が変わった。周囲の様子を窺ってから小声で二人に囁く。

 

 

「ここではよう話しません。中に入って少し待ってもらってもよろしいでしょうか。」

 

 

二人は店の奥に通されて,トキが戻るまで居間に腰を据えた。

どんな話を聞かされるのか,考えると妙に緊張して来た。

出されたお茶の味を感じなかった。

 

 

「お待たせしました。」

 

 

トキは功助と共に,浮かない表情で二人の前に座した。

 

 

「三津の過去についてでしたね。」

 

 

「はい,突然押し掛けておいて申し訳ない。

三津が極端に血を嫌がる理由を知りたい。

何があってそうなったか教えていただけますか?」

 

 

功助とトキは沈痛な面持ちで首を縦に振った。

 

 

「今年の春です

三津は新平と言う恋仲と桜を見に行った帰りに不逞浪士に斬られました。」

 

 

「えっ。」

 

 

今思い出しても胸が苦しくなると二人は目を伏せた。

そんな二人を見開かれた総司の双眼が映す。

思わず声を漏らした口も開いたまま。

 

 

「新平君は即死やったと聞いてます

三津を三津だけを逃がそうとして立ちはだかって一緒に逃げたら良かったのに。」発見された時の二人は折り重なって血溜まりの中にいた。

三津が新平を庇うように覆い被さって。

 

 

その背中は右肩から切り裂かれていて直視出来るものじゃなかったとトキは涙ぐんだ。

 

 

新平の息は無かったけど,三津は辛うじて息はあった。

何日も生死の境をさ迷って,何とか一命を取り留めた。

 

 

一命を取り留めたのに,三津には自分だけ生き残った事への罪悪感と新平を失った苦しみしか残らなかった。

 

 

「目を覚ましてからの三津は,新平君の死を受け入れられなくて彼の遺品を抱き締めてひたすら泣いて謝り続けました。」

 

 

精神的にボロボロな三津に追い打ちをかける事件がまた一つ。

 

 

「新平君にはふくと言う仲の良い妹がおりました。

同い年だった三津とも仲が良かった。」

 

 

察しのいい土方と総司は,そこまで聞けば大体の予想はつく。

 

 

「そのおふくさんとやらも,もう。」

 

 

功助とトキが頷いたのを見て,その後に続けようとした言葉を飲み込んだ。

 

 

「ふくちゃんは新平君の後を追って自分で喉を切りました。

その事が余計に三津を絶望に追いやった。」

 

 

両親を失って町に来て,恋人を失いその次は友達。

 

 

「新平君とふくちゃんは火事で両親を亡くしてまして,二人で支え合ってきたから無理もありません。」

 

 

ふくにとって唯一の家族だったのに,三津だけが助かった。

それが三津の心に重くのしかかった。

 

 

自分が死ねば良かった。そしたらふくは新平の後を追うような事をせずに済んだのに。

 

 

「全部私のせいやって,三津は自分を責めて死のうとした事も

きっと今も心のどこかで自分がふくちゃんを殺したと思ってるかもしれません。」

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